トライアスロンの練習量をどのように管理するのか?
でお悩みのあなたへ、TSS: Training Stress Score を用いた管理方法を紹介いたします。
TSS は練習の時間と強度の両方を考慮したスコア
TSS は Training Stress Score の略で、練習の疲労度を数値化したものです。
アメリカの自転車競技およびトライアスロンの名コーチ、ジョー・フリール氏が提唱しております。
練習の時間と強度の両方を考慮しており、複雑な計算式が使われております。
この TSS が画期的なのは、スイム・バイク・ランという別々の競技を TSS という 1つの指標で管理できる点にあります。
そのお陰で、体力 (CTL)、調子の良さ (TSB) を数値化することができます。
なお、3種目毎に TSS の呼び方を区別することもあります。
スイムは sTSS、バイクは TSS、ランは rTSS です。
CTL:体力・回復力の指標
CTL は Chronic Training Load の略で、長期でみたトレーニング負荷、といったところです。
これは TSS を元に計算されるのですが、直近の練習の TSS の方が CTL に影響するような計算になっています。
よって、連続して高い TSS の練習を行うことで CTLの値が上がっていきます。
そして高い TSS の練習をこなせるということは 体力が向上した、という解釈です。
CTL が高いと、TSS の高い練習 (長時間だったり、高負荷だったり) を行っても、翌日までに結構回復してます。そうすると休むことなく練習ができます。
※適切な休息も大事ですよ!
でも、CTL が高いほどレースタイムを短縮できる、というものでもありません。
スロージョグ 2時間で TSS = 100 稼ぐのを繰り返して CTL を上げても、速く走れるようにはなりません。速くなるには練習の強度を上げる必要があります。
たくさん高強度の練習ができるようになるためには、CTLの向上が必要です。
なので、CTLを向上させること、高強度の練習をすること、どちらも大事です。
TSB:疲労がどれだけ抜けているか
TSB は Training Stress Balance の略で、値が大きいほど疲労が抜けている状態です。
トレーニングのピーク期はかなりのマイナスになり、テーパリング(調整期) でこれを少しプラスまでもっていき、レースを迎えるようにします。
プラスが大きすぎる場合は練習不足です。
テーパリングの時はこの塩梅が難しいところ。
TSS の基準となる強度を測定
TSS を算出するには、基準となる強度(ペースやパワー) を計測する必要があります。
これは、過度に疲れることなく長時間維持できる最高のパワーあるいは最速のスピードとなります。
この基準の測定には様々なやり方があるのですが、私は下記の方法を採用しています。
はっきりいってどれもキツイですが、頑張りましょう。
それぞれの値が上がったら、スピード持久力が身についた、と考えて良いです。
- スイム
CSS:
Critical Swim Speed
(400 – 200) / (400mのタイム(分) – 200mのタイム(分))
詳細はこちら!
- バイク
FTP:
Functional Threshold Power
20分のソロ全力走のワット数の95%
詳細はこちら!
- ラン
FTP:
Functional Threshold Pace
30分のソロ全力走のうち後半20分の平均ペース
詳細はこちら!
あと、体力の向上/低下で値が変わるので 1ケ月に1回程度 計測し直すべきという話を聞きますが、それだとほぼ毎週 3種目のどれかについて測定になるからエグいですよね。。。
でもこの強度の練習は効果が高いです。
基準値を計測したら TSS を計算しよう
各3種目で基準値が計測できたら、あとはその値を基に日々のトレーニングの TSS を計算します。
計算といっても、スイムは私のサイトにて計算フォームを用意しましたし、バイクとランは TrainingPeaks というサービスで自動計算してくれます。
これ全て無料です!
詳しくは下記をご参照ください。
たくさん TSS 稼いで強くなろう
TSS を理解できるようになると、例えばレース当日に CTL を100、TSB を +10 にするための練習計画を立てられるようになります。
前述のとおり、たくさん練習できる体をつくるにはたくさん TSS を稼ぐ必要があります。
頑張って TSS を積んで強くなりましょう!
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