ナゼ体力が上がるとゾーン2がキツくなるのか?

トレーニング理論

海外Ironman・国内4大ロング全完走の管理人がお届けします

最近持久系競技者の間で “ゾーン2” がよく語られておりバズワードとなってます。

ただ多くの人が、ゾーン2ってラク過ぎて本当に効果あるの? と思っているようです。

そんな方々へ向けて、GTN (Global Triathlon Network) が英語の動画を出してます。

Why Zone 2 Gets HARDER As You Get Fitter | We Asked An Expert

こちらを日本語にして内容をまとめて記事にしました。
トライアスリートに限らず ゾーン2について学びたい方、必見です!

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心拍数 ゾーン2の定義

持久系競技のトレーニング理論では、練習の強度をゾーンで分けて管理します。
その基準としては、最大心拍数であったり、ペースであったり、バイクでのパワーだったりします。

この動画では最大心拍数を基準にしており、ゾーン2最大心拍数の 55-70%の強度としています。

プロにとってゾーン2はキツい

Ironman の 70.3 (ミドルディスタンス) で活躍しているプロのトライアスリート Sam Long に、GTN がゾーン2 についてインタビューを行いました。

ゾーン2 はラクなペースとよく言われますが、Sam としては、序盤はそうでもないけど徐々にハードに感じるようになるそうです。

例えばゾーン2で 4時間バイク練習する場合、主観的運動強度 (RPE: Rating of Perceived Exertion) で表すならば、序盤30分は10点満点の4点くらいだけど、終盤30分は7-8点くらいまで上がるとのこと。

一般市民アスリートの多くはゾーン2は長時間続けてもラクだと感じるのとはだいぶ違いますね。

プロのレースでは(バイクパートについて話していると思われる)、FTP の 75%くらい、いわゆる「テンポ」の強度で走ることになり、 これを長く続けるにはハイレベルな筋持久力と高い集中力が必要になる、と Sam は言ってます。

つまり、テンポなのに心拍としてはゾーン2におさまっている、ということですね。

しかしテンポを 4-5時間続けるとかすごすぎる・・・。

初級者トライアスリートにはゾーン2はラク

次に、市民トライアスリートである Phil に、ゾーン2 をどう感じるかを聞いてます。

Phil って誰だ?と思ったら、他の動画にも出てきていた方でした。
GTN としては、彼は初級者の位置づけのようです。

Phil としては、ゾーン2 のランニングはラクすぎて逆にキープが大変だと言ってます。

私も Phil の感覚はよく分かります。
スロージョグのつもりなのに心拍数がゾーン3 になってしまうとかあるあるです。

プロは強度を上げても心拍がゾーン2にとどまる

ゾーン2の時に何が起きているか?

これについては、Precision Fuel & Hydration というイギリスの電解質補助食品のブランドの Sam Shephard氏 (こちらも Sam で若干ややこしい笑) が説明しています。

ゾーン2 の時は、酸素を消費する速度が一定の範囲内にあり、主に脂肪を燃料としてエネルギーを生み出す状態になっています。
ただし、少量の炭水化物も使われます。

この状態では、乳酸が過剰に蓄積しないことがポイントです。
これはつまり、体内で乳酸を処理するスピードが乳酸の生成のスピードと同等以上ということです。

※以下は彼らの話に私が補足説明を加えてます

細胞の中にはミトコンドリアという小さな器官があります。
これはエネルギーを生み出す発電所のようなものです。

このミトコンドリアが、血管から送られてくる酸素を使って糖や脂肪を燃焼すると、エネルギー (ATP) が生成されます。

ここで強度の高い運動をしていると、酸素の供給が不足してきて、乳酸と水素イオンが溜まり始めます。
この水素イオンが疲労の原因、と言われています。
(ひと昔前は乳酸が疲労の原因と言われてましたね)

Sam Long のようなプロは、強化された血管が大量の酸素を運ぶことができ、また発達したミトコンドリアが酸素からエネルギーを生み出す効率もかなり高いため、多くのエネルギーを生成することができます。

そして比較的高い強度でも、乳酸が効率的に再利用され、水素イオンの蓄積も抑えられます。

よって、強度としてはゾーン3だとしても、心拍はゾーン2 にとどまることができるのです。

初級者の Phil はその逆で、筋肉へ酸素を多く供給できず、その少ない酸素をエネルギーに変えるミトコンドリアも発達していません。

そして、低強度の運動でも、乳酸の蓄積速度が上がってしまい、最終的には疲れてしまいます。

主観的運動強度と心拍ゾーンのズレ

よく見るグラフでは、ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3、ゾーン4、ゾーン5と並んでいて、その横にRPE(主観的運動強度)一直線に対応しているように描かれています。

ですが実際は、RPE は実際のスキルレベルや経験値によって変わる、と Sam Shephard氏は言ってます。

例えば 初心者レベルのアスリートの場合、ゾーン2の運動をしているとき、RPEは3〜4くらいの強度になります。

一方、Sam Long のようなトップアスリートの場合、ゾーン2の上限ギリギリでも、RPEが5〜6くらいになっていることもあります。

つまり、トップアスリートにとっては、同じゾーン2でもずっとキツい負荷を維持していることになるんです。

更にトレーニング時間が長くなればなるほど、そのRPEの値もどんどん上がっていき、維持するのがますます難しくなっていきます。

つまり、エリートレベルのプロアスリートの場合、かなりハードな強度でトレーニングをしていても、体は生理学的にその負荷にうまく適応しているということです。
そのため、RPEが高くなるような負荷でも心拍数は低く抑えられ、疲労も蓄積せず、乳酸もほとんど溜まりません

一方で、トレーニングをしていない初心者の場合、低強度の運動でさえ、生理学的にはかなり負担が大きくなります。
疲労が蓄積しやすく、心拍数もどんどん上昇し、本人の主観的な運動強度(RPE)は低く感じていても、実際には体にはかなりのストレスがかかっています。

皮肉なことに、フィットネスレベルが高いほど、ゾーン2がキツく感じられることがあるということです。

この議論において、自分の心拍ゾーン2が正確であることが重要だという点は忘れてはいけません。

腕時計が自動的に推測した心拍ゾーンをそのまま信用するのではなく、自分の閾値(スレッショルド)をテストして、心拍ゾーンが正確であることを確認するようにしましょう。

ゾーン2 でのトレーニングは生理学的には意味がある

この動画では、競技レベルとゾーン2とRPEの関係がメインテーマでしたが、心拍ゾーン2 のトレーニングの負荷が軽く感じるとしても、生理学的には意味がある、ということも分かりました。

閾値走とか FTPテストとか、キツいからついつい間隔があいてしまいがちですが、心拍数をベースにトレーニングをする場合は非常に重要になってきますので、サボらず頑張りましょう!

安静時心拍数に関する記事も書いてます。こちらもソースは GTN 動画。

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