本レビュー:ピークパフォーマンス

トレーニング理論

海外Ironman・国内4大ロング全完走の管理人がお届けします

こちらはビジネス系自己啓発本なのですが、著者がマラソン・トライアスロンの実力者で、二人の子どもを育てながら大企業の役員となった方で、興味があり読みました。

エネルギーのマネジメントというコンセプトなのですが、すごいエネルギーの持ち主で圧巻でした。

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著者 野上 麻理

野上麻理氏の経歴です。すごすぎです…。

1969年 大阪生まれ
1992年 大阪外国語大学(現 大阪大学) 英語学科卒
同年 P&Gジャパン入社
30-31歳に結婚・第一子出産・出産3か月後に職場復帰
35歳に第二子出産・出産3か月後に職場復帰・本格的にランニング開始
2006年 37歳で日本人初のマックスファクター社長就任
2009年 P&G バイスプレジデント
2012年 アストラゼネカ入社
2015年 別大マラソン 3:14:41
2017年 アストラゼネカ バイスプレジデント
2018年 武田コンシューマーヘルスケア 社長
2021年 石垣島トライアスロン エイジ2位
2021年 GSKコンシューマーヘルスケアジャパン 社長

市民アスリートが書いた自己啓発本

この本が世の中に溢れている自己啓発本と一線を画すのは、筆者がマラソンランナー・トライアスリートであり、その競技の体験を通して書かれている点です。

ビジネスで生産性を上げるために 4種類のエネルギーを増やしていく、と主張されています。

この4種類は身体エネルギーをベースにしたピラミッド構造になっています。

精神のエネルギー
(自分が大切にしていること)

思考のエネルギー
(集中力)

感情のエネルギー

身体エネルギー

まず身体を整え、感情をコントロールし、思考を明確にして、精神と同じ方向に合わせることでパフォーマンスを最大化できる、というピラミッド構造になっています。

それぞれのエネルギーの解説に自身の運動による体験が盛り込まれていて、共感できてうなずくことが沢山書かれています。

まず身体エネルギーを高める

身体エネルギーを高めるには、食事、運動、睡眠、を挙げています。

これはどこでも言われていることですが、運動としてマラソンやトライアスロンを取り入れたのがこの筆者の特徴です。

ただ、若い頃は身体の健康に無頓着だったようです。

20代はとにかく仕事をしていて1年以上生理が止まってしまい、生理用品のブランドマネージャーをしていて新製品の試用を勧められてもできませんでした。

でも体が丈夫なので普通に生活できてしまい放置、重い腰を上げて婦人科に診て貰ったら怒られたとのこと。

元々スキーは続けていたが、30直前に登山にハマり、結婚・2人出産を経て、本格的にランニング開始、そしてトライアスロンもやるようになったそうです。

1人目の出産後に遊び半分で10kmランのレースとかには出ていたが、仕事で知り合ったワコールの研究所長から「女性が37歳を過ぎて体形を保つには、妊娠直後が一番効果的」と聞いて、2人目出産後から本格的にランニングを開始。

エステで痩身を試みて挫折したこともあったが、ランニングは年内にマラソン大会に出るという目標を決めて習慣化でき、見事目標達成されました。しかもいきなりサブフォー!

全日本マラソンランキングのタイム別分布をみると、女性のサブ4は男性のサブ3.5に匹敵します。

生理がずっと止まっていても激務を続けていたとか、遊び半分で10kmレースに出ていたとか、出産3か月で職場復帰とか、女性で1年未満の練習でいきなりサブフォーとか、筆者の並々ならぬ体力の高さが伺えます。

でも、運動初心者の読者に対しては、まずはウォーキングとヨガから始めるのを勧めています。

漸進性過負荷の原則

この原則は、筋力アップのためには同じ負荷でずっとやり続けるのではなく、「徐々に」負荷を上げていく必要がある、というもので、ビジネスにもこれが適用できるとしています。

カテゴリー x ロケーション x 仕事の種類
といった変数があれば、1度に変数を2つ変えないようにする。

例えば担当業務を化粧品カテゴリーから別カテゴリーに変えるだけとか、化粧品カテゴリーのまま担当地域だけ変えるとか、と書かれてます。これはナルホドと思いました。

習慣の力

この本は 4種類のエネルギーを章立てて解説しているのですが、習慣については別の章に分けてます。それだけ習慣の力を重要だと考えているのでしょう。

習慣化できた例として、自身のランニングの体験談を挙げています。

  • 行動に移しやすいよう、具体的な行動目標を時間や曜日を含めて決める
    例: 家族・仕事の状況から比較的時間がとれる土日の午前中に30分ずつ走る

  • 習慣化するまでの最初2-3か月が重要。なので最初の行動目標は低めに設定して乗り越える。

  • 行動がとりやすくなるサポートシステムを持つ。
    例: ラン練習会への参加。SNSで土日走る宣言。土日午前の子供向けTV番組(子供の相手をしてもらう)。

  • 1度や2度できないことがあっても諦めない。そこから再開すれば問題ない。

  • 独りの時間を持てる素晴らしさに気づく。(育児中は特に)

  • ご褒美をつける。
    ランニングしたらカロリー消費した分だけお菓子やビールが摂れるようになる。

  • 〇〇を止める、ではなく、〇〇をする、というプラスの行動に書き換える。
    例: タバコを止める、ではなく、吸いたくなったらガムを噛む。
    (これは筆者の体験談ではないと思いますが)

ランナー・トライアスリートが腑に落ちるビジネス本

以上のように、ランナー、トライアスリートとして経験してきたことが多く盛り込まれており、普通のビジネス本以上に腑に落ちる内容でした。

このブログでは仕事術には触れませんが、感情のコントロール、ストレス耐性、集中のしどころ、リハーサルの重要性、仕事のメリハリ、生きる意味と働く意味、自分のストーリーを上書きする、仕事の基礎的な能力、家事育児のアウトソーシング、等々、ビジネスパーソンにとって重要な事柄が数多く書かれております。

その多くは P&G時代に受けたメソッドがベースになっているようです。

今はそうでもないようですが、筆者が入社した当時の P&G はいわゆる Up or Out の厳しい世界で、現在は P&Gマフィアという言葉があるくらい、P&G出身者が様々な業界の重要ポストに就いてます。
もちろん彼女も P&Gマフィアの1人。

それくらいハイレベルなビジネスの世界で活躍しながらも、練習時間を捻出してマラソンやトライアスロンも楽しんでおられます。

こちらの本を読んで、圧倒されながらも良い刺激を受けてください!

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