トライアスロンを含む自転車競技において、心肺能力や筋力と同じくらい重要な空気抵抗。
この空気抵抗について実験を行っている動画(英語) があったので日本語でまとめました。
そのうち、3つの異なる幅のタイヤでどれくらい空気抵抗が異なるのかのテストについて記事にしております。
英語が苦にならない、オリジナルの情報が観たい、と言う方はそちらをご覧ください。
元の動画:We Tested Gravel Equipment in a Wind Tunnel and the Results Were Surprising
全バイクにおいて学びが多い
この Youtuber の Dylan氏はグラベルのレーサーであり、彼が自身のグラベルバイクでグラベルの世界最大級レース Unbound gravel 200 (322km) を走る想定で計測・計算してますが、ロードバイク、トライアスロンのTTバイク、マウンテンバイクなど、他のバイクにも当てはまる事がたくさん語られています。
むしろ巡航速度の高いロードやTTの方がエアロ化の恩恵を得られますしね。
この実験は Silca (シリカ:1917年から続く老舗の自転車アクセサリーの会社) の風洞施設、いわゆるウインドトンネルで行われました。なので Silca製品がよく出てきます。
幅が異なるタイヤでテスト
Pirelli のグラベル用タイヤ Cinturato Gravel H を幅35mm、40mm、45mm と3種類を用意し、それぞれでテストしました。
結果は以下表のとおりです。
やっぱり太い方が遅い。空気抵抗が大きいということでしょう。
※動画では 322kmでの推定値を挙げていましたが、トライアスロンのロングディスタンスでは180kmがメインなので、タイム差を 180/322 した値も表に載せてます。
タイヤは細ければよい、という訳ではない
グラベルのように路面が荒れていると細いタイヤは転がり抵抗がかなり大きくなるので、空気抵抗との兼ね合いでどれくらい細いのが最適なのか、という問題があり、そこについては Dylan氏と Silca にて研究中と言ってました。
2023/4に投稿された動画なので、もう研究の成果は出てるかもしれませんね。
転がり抵抗
※ここから先は動画では触れていない、空気抵抗とは別のお話です。
では、ロードバイクやトライアスロン等、舗装道路を走るレースでは、タイヤは細ければ細いほど良いのか?
実はそうではなく、ある程度タイヤを太くし、あまり空気をパンパンに入れない、というのが現在の主流となっています。
タイヤの転がり抵抗は、ヒステリシスロスとインピーダンスロスに分けられます。
- タイヤ変形によるロス = ヒステリシスロス
- 跳ねることによるロス = インピーダンスロス
グラベルのような不整地を走る場合、よく跳ねるので、インピーダンスロスを少なくすることを重視し、太めのタイヤを履いて空気圧を低くします。
逆に屋内のトラック競技の場合、路面の凹凸はほぼないため、ヒステリシスロスを少なくすることを重視し、細いタイヤを履いて空気圧を高くします。
ロードバイクやトライアスロンのような屋外の舗装道路を走る場合、その中間となります。
その話については別の記事を書いてます。
様々なテストを実施
この動画では様々なテストを実施していました。
それぞれ記事を分けたので、ご興味あればご覧ください。
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