栂海新道1泊2日の登山で体力アップ

練習日記

海外Ironman・国内4大ロング全完走の管理人がお届けします

1泊2日で計22時間半の登山をしたら体力 (CTL) がすごく向上した、という話です。

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レースの7.5週前に初のテント泊登山

トレランを含め日帰り登山は何度か経験していましたが、テント泊登山は未経験で、いつかやってみたいと漠然と思っていました。

そうしたらある日、登山にハマっている友人が今夏にテント泊登山を計画しており、余っているギアを貸すから一緒に行こうと誘ってくれたので、参加することにしました。3人のパーティーです。

ちょっとギャンブルですが、アイアンマンみなみ北海道の 7.5週前に初体験のハードな登山にトライとなりました。

栂海新道で Sea To Summit を狙う

計画としては以下のとおり。かなり欲張りなルートだけど頑張ってみようということに。
ちなみに当時の私にはこれがキツいかどうかも判断できませんでした。

1日目 (7/25)
栂海新道を日本海から登って栂海山荘でテント泊

2日目 (7/26)
朝日岳まで登って蓮華温泉ロッジでテント泊

3日目 (7/27)
白馬乗鞍岳を登って栂池自然園駅で終了

親不知観光ホテルに前泊

登山前夜、各々が仕事後に新幹線に乗り、車内で合流。

2人とも何とザックは30L!軽くて小さいギアを多く持っており、また経験も豊富なので荷物が厳選されてます。
ザック外側にテントを括り付けてましたが、それにしても小さい。

一方私は 50Lのザックがパンパンです。

この登山のために奮発して良い寝袋を買ったので(詳細は後述) その分だけスペースは確保できたのですが、特に食料と衣類をどれだけ持っていけば良いか見当がつかず、50Lギリギリのパッキングとなってしまいました。

ともあれ糸魚川駅へ着き、乗り換え電車が来なそうだったのでタクシーを拾って親不知観光ホテルへ移動。

チェックイン時に今回の行程を宿主さんに伝えたら、すごいですねえ!と驚かれました。

友人2人との荷物の差と宿主の反応から、相当ハードな登山になるのでは?と不安になりました…。

ともあれ翌日の準備をして早々に就寝。

1日目 日本海~栂海山荘 hrTSS = 390

早朝に起床して持ち込んだ食料を食べてホテルを出る。

まずホテルから少し海側に降りて日本海へタッチしてスタート!

COROSウォッチでトレッキングを選択し計測開始。

上述の計画マップをみると分かりますが、いきなり斜度がキツいです。

海抜0mスタートなのでもちろん暑い

帰宅ランでバックパックに着替えを詰めて走ることはありますが、登山は起伏がすごいし荷物は重いしで、やはり別物です。

ここで役立ったのが、友人が貸してくれたポール!

荷物が膨らんだのでポール持参を諦めようとしたのですが、2人がいや持っていけとアドバイスくれたので従いました。

これがすごく便利で、常に手すりを使っている感じです。

登りでは、ポール立てて腕の力を使ってガシガシ登ることができます。

下る時も、ポールを先に突くことで着地の衝撃を和らげることができます。

それでも体力はガリッガリに削られていきます。
そんな時に白鳥小屋に到着。

中に入ると栂海新道を開拓したときの年表が貼ってあります。
この登山前に「栂海新道を拓く」という本を買って読んでたので、感激しました。
(この本について記事の最後に少し詳しく紹介してます)

ここで友人1人が、ちょっと仮眠取っておく?と提案。

もう1人の友人が、疲れているし戦略としてアリだよね、と応答。

私は当然同意。

てことでスマホで1時間のアラームをかけてみんなでゴロ寝。すると秒で入眠
お陰でちょっと回復することができました。

この白鳥小屋含めて栂海新道を切り開いてくれた小野健氏とさわがに山岳会に感謝!

その後もハードな登りが続きペースが落ち、白鳥小屋で1時間以上休憩したこともあり、テント泊する栂海山荘に到着したのは17時過ぎとなってしまいました。

ここで COROS の計測を終了。運動時間 10:40 でした。

TrainingPeaks アプリを開いたら、 hrTSS が何と 390

※ TSS はトレーニングの負荷を表してます。hrTSS は心拍数をベースに計算した負荷です。詳しくはコチラをご参照ください

10時間以上 重い荷物を背負ってずーっと登るのってすごい負荷なんですね。

昨年の柏の葉パークマラソンの rTSS は 244でした。rTSS と hrTSS で多少の差はあるでしょうが、それにしてもフルマラソンの1.6倍の負荷はヤバイ。

ガラガラのテント場で各自テントを張り、バーナーとクッカーで簡単調理して3人で談話しながら夕食。

この時の夕焼け、雰囲気、がすごく良かったです。おそらく一生忘れないでしょう。

食後、友人がアンダーウェアやタオル等いろいろとテントに掛けて干してて、夜中に雨降ったり強風吹いたらどうするの?と聞いたら、多分大丈夫だしその時は何とかするよ、と言ってました。

私は念のため全てテント内に荷物を収納。

そして各自のテントに入り寝袋へ入る。またも秒で入眠。

夜中、目が覚める。雨が降り、風でテントがバタバタしてました。

そして外では明かりが動いていてバッサバッサ音が聞こえてくる。

どうやら友人がヘッドライト点けて干してたものを回収しようと頑張ってるようでした。
でも全くヘルプする余力は残っておらず再び入眠。友人ごめんよ…。

2日目 栂海山荘~蓮華温泉ロッジ hrTSS = 444

日の出頃に起床。天気は良いが昨夜の雨で地面が濡れていたので、小屋に入りテーブルで朝食。

私が食事準備やらテント撤収やらでモタモタしてしまい、7:00出発と遅れてしまいました。2人に申し訳ない。

最初の数キロは、犬ヶ岳~サワガニ山~黒岩山、の縦走です。

フラットで楽だし、時々風が通るし、絶景だし、最高!

そして再び登りゾーン。

キツいけど高地のため気温がやや低いので、昨日よりはマシです。水を飲むペースも昨日ほどではありませんでした。

ただ疲労は蓄積する一方で、友人が遅れ始めました。

彼らはウルトラライトと言ってかなり軽量化をしており、週1回ジョギングをしているそうですが、こちらは週10時間ほどトレーニングしてますしね。

そんな調子なので朝出発の遅れを取り戻せるはずもなく、吹上のコルに着いたのは 13:40。

吹上のコル~朝日岳~吹上のコル、には50分かかることが見込まれ、もうそんな時間は無いねということで朝日岳は諦め、蓮華温泉へ直行となりました。

ここから1100mを下り、240mを登ります。

私は着地筋 (大腿四頭筋) が本当に弱くて、下りが続くとすぐに着地筋が痛くなり、遅くなってしまいます。

以前ランニング仲間と富士登山したときに、登りはかなり先行したのに下りで追いつかれました。怪我したのかと心配されるレベルでした…。

ですが今回はポールがある!
ポールのお陰で下りでもそこまで脚が痛くならずに進むことができました。

そして下り終わった後の最後の240mの登り。

この240mというのは地図でみた標高差で、実際は何度も短く下る場面もあり、獲得標高はもう少しあったと思われます。

終盤にこの登りはかなりキツいのですが、日没のプレッシャーがかかった友人達が覚醒。
休憩の回数もグンと減り、私のペースにまあまあついてくるようになりました。

そして森の中を進んでいたら急に開けて、蓮華温泉の看板がドーン!

この時はもう18時半。何とかヘッドライトを使わずに目的地へ到着できました。

看板の場所から若干登らされて白馬岳蓮華温泉ロッジへ。

ここはテント泊の予約ができなかったので、部屋が空いていれば今からでもロッジ泊に切り替えることは可能です。

3人で当然のようにロッジ泊を狙おうという話になり、祈る気持ちでフロントに行ったら、空いてました!

後は畳の部屋に入り、温泉に入り、カツカレー食べながらビールと地酒。一気に極楽。

とにかくエネルギーが欲しくて、カツカレーお替わりしてしまいました。
同じメニューを連続して頼むの生まれて初めて。

この日の運動時間は 11:47。hrTSS は 444

昨日より1時間長く動き、また後半ペースアップしたこともあり、こんな数字になりました。

昨年の皆生のレースの時の TSS が 568 でしたので、その78%の負荷。エグすぎる。

3日目の登山は当然取りやめ!
朝に露天風呂に入るため、ロッジから約20分登り降りをしただけでした。hrTSS = 14。

登山により感覚的にも数値的にも体力が上昇

それまでは CTL (体力) が 80前半で停滞していたのですが、この 1泊2日の登山により 98 へジャンプアップ

ただ、当然 TSB (コンディション) も一気に数値が悪くなり、登山前日の +1 が登山直後には -67 へ!
こんな悪い数字は初めて。

ちなみに一昨年の佐渡レース後は -41、昨年の皆生レース後は -31 でした。

ここで練習を休み過ぎると体力が落ちてしまい、頑張り過ぎるとオーバートレーニング症候群になってしまいます。

そうならないよう十分に注意を払いながら、2日空けて練習再開し、低強度にしつつボリュームは変えないよう我慢のトレーニングを 2週間ほど続けたら、体が適応し、登山前と比べて明らかに練習の質と量が向上しました

レース5週前にビッグデイ (1-2日にハイボリュームの練習をおこなう) を行った後も、1日休んだだけで通常の練習に戻れました。

数値的には、CTL (体力) が 90前半をキープするようになりました。それでいて TSB (コンディション) は -10以上をキープ。

登山前は、TSS (練習負荷) 100 超えが 2日続くとその翌日はアクティブレストでしたが、今は 4日連続で TSS 100前後の練習ができてます。

クロストレーニングとして登山を取り入れるのは かなりアリだと思います。

今後はレースとの間隔を考慮しながらハードな登山をしようと思います!

購入した登山ギア一覧

今回は友人から、細長のソロテントスリーピングマットテントマット調理用ガスストーブクッカーポール、とたくさんのギアを貸してもらえました。

こんなに貸してくれるとは本当にありがたい。

ただこれでも不十分なので、自分で幾つか買い足しました。

Sea To Summit Spark SP0

最初は以前ホームセンターで買った封筒型の安い寝袋を持っていこうとしていたのですが、どうやってもザックに入らない。

友人に相談したところ、彼も持っている Sea To Summit (シートゥーサミット) の Spark SP0 を勧められました。

この Spark SP0 はマミー型で羽毛素材です。

寝袋の形には封筒型(長方形)とマミー型(ミイラっぽい形)があり、マミー型の方がコンパクト。

また素材は大きく分けて羽毛と化学繊維があり、羽毛は化学繊維と比べて高額・軽い・収納できる、のが特徴。

高額だったけれど、春~秋と 3シーズン使えるし、友人から色々借りて経済的負担は軽減できているし、エイヤ、とポチりました。

左が安物、右が Spark SP0。ぜんっぜん小さい。

品質も素晴らしく、夏の標高 1600m の栂海山荘で張ったテント内で快適に眠ることができました。

Platypus ソフトボトル

トレランで給水に使うソフトボトル 500ml を 2つ持ってましたが、それでは全然足りないとアドバイスを貰い、Platypus (プラティパス) のソフトボトル 1L を 2本 購入。

水を入れてザックの両サイドにあるネットに刺してました。

友人はこれをザックの中に入れてハイドレーションのチューブを付けて簡単に飲めるようにしてました。でもこれだと水の残量が分からないのが難点と言ってました。

2種類のデザインがあるようで、私は1つずつ買いました。

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モバイルバッテリー (追加購入)

モバイルバッテリーについて、片方の友人からは、トラブル起きた時にスマホ充電が切れているとヤバいから 20000mAh を勧められ、もう片方の友人からは、 登山中は基本電波入らなくて機内モードにしっぱなしだから普段使いでも十分だよと言われました。

2人から反対の意見を聞いて悩みましたが、安全な方を採り、10000mAh を購入し、今持っている 10000mAh と2つ持っていきました。

結果的には遭難等することなくバッテリーがほとんど減らないまま登山が終わりました。まあそれが一番です。

購入したのは特に高いものではありません。

極厚ポリ袋 (ゴミ袋)

雨が降った時にザックの中身が濡れないようドライバッグなるものがあるのですが、厚手のゴミ袋で代用できると友人に教わったので、70Lで0.05mmのものを買いました。

本当はもっと厚手で丈夫なものが欲しかったんですけど見つからず。

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で、いま改めて Amazon をチェックしたら、何と 0.15mm が売ってるではないか!

5枚入りですけど、そんな頻繁に使うものでもないし問題ないでしょう。

今回は幸運にも雨が降らなかったので 0.05mm の実力を測れませんでしたが、もし今から買うならこの 0.15mm ですね。

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(本) 栂海新道を拓く

せっかくだから栂海新道のことを事前に知っておこうと思って検索したら、この本が引っ掛かったので購入。

栂海新道の歴史が書かれてます。

著者の小野健氏がすごくて、鉱山で発破の仕事をしながら、誰に頼まれた訳でもなく、メンバーをたくさん勧誘し、私財を投入し、仕事後や休日に日本海から北アルプスを登りながら木を伐採し、足場を作り、栂海新道を開拓し、その後も継続して保全も行っていた方です。

まだ資材をヘリで運ぶことができない時代なので、みんなで50kgの長尺鉄骨を背負って登って小屋を建てたりしてます。

当然スムーズにいくはずもなく色んな壁にぶち当たりますが、どんどん突破していきます。

小野健氏の夢の大きさ、リーダーシップ、行動力、知力、に惚れ惚れするでしょう。

栂海新道を歩く方はもちろん、そうでなくても登山が好きな方は読んで損ないと思います。

私が買って読んだのは「栂海新道を拓く」です。

で今調べたら、この「栂海新道を拓く」に、小野健氏から保全を引き継いだ方々の話が追記された「アルプスと海をつなぐ栂海新道」という本を発見!2024年3月発売!

あーこっち買えば良かった…。

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