トライアスロンを含む自転車競技において、心肺能力や筋力と同じくらい重要な空気抵抗。
この空気抵抗について実験を行っている動画(英語) があったので日本語でまとめました。
そのうち、バックパックやヒップバッグを装着したり、背中ポケットにドリンクボトルを刺した時のテストについて記事にしております。
英語が苦にならない、オリジナルの情報が観たい、と言う方はそちらをご覧ください。
元の動画:We Tested Gravel Equipment in a Wind Tunnel and the Results Were Surprising
全バイクにおいて学びが多い
この Youtuber の Dylan氏はグラベルのレーサーであり、彼が自身のグラベルバイクでグラベルの世界最大級レース Unbound gravel 200 (322km) を走る想定で計測・計算してますが、ロードバイク、トライアスロンのTTバイク、マウンテンバイクなど、他のバイクにも当てはまる事がたくさん語られています。
むしろ巡航速度の高いロードやTTの方がエアロ化の恩恵を得られますしね。
この実験は Silca (シリカ:1917年から続く老舗の自転車アクセサリーの会社) の風洞施設、いわゆるウインドトンネルで行われました。なので Silca製品がよく出てきます。
バックパックを背負うテスト
Unboundレースは 322kmもある上に暑くなることもありますが、エイドステーションの数が限られているため、大量の水分・補給食、予備のチューブやツールを携帯する必要があり、ハイドレーションバックパックを背負って走ります。
そこで、2種類のパックをテストしました。Osprey Katari 7 と The USWE Outlander Pro です。
※動画では 322kmでの推定値を挙げていましたが、トライアスロンのロングディスタンスでは180kmがメインなので、タイム差を 180/322 した値も表に載せてます。
Osprey の方はタイムが遅くなりました。エアロダイナミックが低減。
しかし、 USWEのパックを背負ったら何も装着しない時よりも速くなりました!
では、エアロポジションではどうなるのか?
↓↓このポジションです↓↓
パックを着けた場合と着けない場合を比較すると、やはりパックを装着した方が速い。3Wのセーブとなりました。
ヒップバッグ そして ドリンクボトル
更に、ヒップバッグ、ドリンクボトルの有無をテスト。
ヒップバッグとして USWE の Zulo を試したところ、こちらもタイム短縮の効果がありました。
そしてジャージの背中ポケットにボトルを刺したら、何と3.6W、2:36 → 180km換算で1:27 の改善!
※動画では 322kmでの推定値を挙げていましたが、トライアスロンのロングディスタンスでは180kmがメインなので、タイム差を 180/322 した値も表に載せてます。
今回実験を行ってくれた1人の Graham はさほど驚かず、背中に何かを背負うことで空気が少し長く滞留し、空気抵抗が減るからだろうと言ってました。
ただ Dylan氏も言ってますが、今回良い値を出したギアが皆さんの体型に合うとは限りませんし、また全てのパックが空力的に優れている訳ではありません。
その前置きをしつつも、USWEのパックはとても細くてエアロの観点からはベストオプションの1つになり得る、と評価していました。
トライアスロンでは禁止?
背中ポケットにボトルを刺すのと似た話として、以前、ドリンクボトルをジャージの胸のところに入れることで整流効果が働いて空気抵抗が低減する、チェストフェアリングというものがありましたが、近年 World Triathlon でも Ironman でも禁止となったことで話題となりました。
基本的に各トライアスロンの大会は World Triathlon のルールに準拠するため、全レースに適用されると考えておいて良いでしょう。
以下、2023年 World Triathlonの競技規則 の抜粋です。
Fairings are prohibited. Any device, added or blended into the structure, that is
destined to decrease, or which has the effect of decreasing, resistance to air
penetration or artificially to accelerate propulsion, such as a protective screen,
fuselage form fairing or the like, shall be prohibited;
ジャージの中にボトルを入れてジッパー閉めるのは明らかに fuselage form fairing に該当するということですね。
バックパック、ヒップバッグ、背中にボトル刺しも fuselage form fairing なんでしょうか。
プロのレースで見かけないということは NG ということなんでしょう。
ブルベやグラベル等、ルール上 OK のイベントやレースでは積極的に取り入れてもよさそうです。
ただ、今回の Osprey Katori 7 のように、逆に空気抵抗になってしまう場合もあるので、難しいところ。
USWE Outlander Pro、Amazonでレビュー見たらすごい高評価!
レースで使うというよりも普段のライドで使いされてますね。
どうやら私が知らなかっただけで、人気で有名な製品のようです。
いやー欲しくなる。
USWE Zulo も高評価。
容量2Lでこの値段でこんなに人気があるって、相当イイものということですね。
様々なテストを実施
この動画では様々なテストを実施していました。
それぞれ記事を分けたので、ご興味あればご覧ください。
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