持久系競技における競技力を構成する3要素

トレーニング理論

海外Ironman・国内5大ロング全完走の管理人がお届けします

トライアスロン、OWS、バイクレース、マラソン、等など、持久系競技をやっていると、VO2MaxLTエコノミー、を伸ばそう、とよく言われますよね。

それぞれが何を意味しているのか、どのようにして伸ばすのか、を解説します。

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VO2Max:最大酸素摂取量

VO2Max は Volume of Oxygen MAXimum の略で、日本語では最大酸素摂取量と言われています。
1分間に体重 1kgあたり体内に取り込める酸素の最大値を指します。
単位は ml/kg/min。

最近は、死亡率や各種疾患の罹患率とも強く関連するということで、競技をやらない方も健康のために VO2Max を伸ばそう、という話も聞くようになりました。

これを向上させると、持久系競技においては巡航速度が上がります。
なので成績向上を目指すためには非常に重要な指標です。

ただし、完走だけが目的であれば別にやらなくてもいいです。
キツくてツラいしケガのリスクが高いし。

LT:乳酸性閾値

LT は Lactate Threshold の略で、 日本語では乳酸性閾値と呼ばれています。

乳酸が血液中に急激に貯まり始める運動強度を指します。
ランだと LTペース(min/km)とか、バイクだと LTパワー(W) とかになります。

LT を超えたペースだと乳酸が溜まって潰れてしまうので、LTペースを向上させることがレースペースの向上につながり、即ち時間内完走の確率を高めることができます。

よって、ミドルやロングのような長距離レースを完走できるかどうか不安な方は LT を伸ばすトレーニングしましょう

一方、ショートディスタンスでは LTペース ≒ レースペース となるので、短距離レースでも成績向上を目指す方は LT を伸ばす必要があります。

なお、VO2Max を向上させると LT も向上することが判っています。
(逆に LT を向上させても VO2Max向上は期待できません)

ただ、持久系競技としてはそれだけだと不十分なので、LT の向上を狙った練習を別途おこなう必要があります。

エコノミー

エコノミーとは、一定の速度(強度)で運動をおこなうのに必要なエネルギーを指します。

ランニングエコノミーという言葉は結構有名ですね。
スイムだとスイミングエコノミー、バイクだとサイクリングエコノミー、となります。

言い換えると、同じ労力でどれだけ速く進めるか、ということになります。

これは、体型フォーム機材、が大きく関わってきます。

表にまとめると下記のようになります。
※ここに書いてあるのはほんの一例です。

体型フォーム機材
スイム胴長だと重心が浮心に近づくのでラク下半身を浮かせるウェットスーツ
バイク体が小さいと空気抵抗が小さくてラク頭を低くする
滑らかなペダリング
TTバイク
エアロバー
ランふくらはぎが細いと軽くてラク腰骨を立てるカーボンシューズ

この中で最重要なのがスイムのフォームだと私は考えています。

水は空気の約800倍の密度があるため、スイムのフォームの善し悪しがモロに競技成績に影響します

体型は遺伝的要素が大きいので頑張ってもほぼ改善できません。
機材は重要ですが、スイムのフォームほどではないと思います。

極端に言えば、平泳ぎというスイミングエコノミーの低い泳法ではスイムパートで足切りを食らってしまいますが、ある程度鍛えていれば安物のアルミロードバイクでもバイクパートを走り抜けることはできます。

私もミドルディスタンスまでは、ワイズロードのセールで 8万円で売っていたアルミのロードバイクで完走してました。
でももしクロールが泳げずに平泳ぎで挑んでいたら、ショートですらスイムパートを突破できなかったでしょう。

VO2Max 向上に効く HIIT

VO2Max を向上させるには、HIIT:High Intensity Interval Training が有効とされています。

スイムは怪我のリスクが比較的低いことから、私はプールに行くと半分くらいは 100m x 7本とか 200m x 4本 とかで限界を迎えるような強度のインターバルトレーニングをしています。

バイクでの高強度練習はもっぱらローラーですね。屋外で高強度練習すると落車が怖いので。

Zwift や MyWhoosh には VO2Max を向上させるワークアウトがたくさんあります。
Zwift では Wringer や Gorby が難易度が高くて有名ですね。
MyWhoosh だと 5Min Max Aerobic が Zwift に似てたりします。

ちなみに私が使っているのは XPLOVA の NOZA S です。

ランだと、ヤッソ800 とか、1000m x 7本 とか、ヒルリピート(坂道登りダッシュの繰り返し)とか、これまた色々なワークアウトがあります。
ただし着地でかなり脚に負担がかかるため、最近は怪我が怖くてほとんどやらなくなってしまいました・・・。

LT 向上に効く閾値泳・閾値走

LT (Threshold) と言うくらいだから、閾値の強度でのトレーニングをすると効果が高いです。

スイムでは、VO2Max のトレーニングよりサイクルタイムを5秒足したペースをやることがあり、これが LTペースになります。

バイクは SST:Sweet Spot Training や クルーズインターバルが LT向上に効果があります。
SST は休憩なしでぶっつづけ、クルーズインターバルは SST より少し強度を上げるがショートレストを挟む、と内容が異なるので、厳密には効果が異なるようですが、私はもうそのときの気分で決めてます。

ランでは、10Kレースのペースとハーフマラソンのペースの間くらいの速度で 30分ほど走ります。

私は長らく勘違いしていて、30分全力走を閾値走だと思ってました・・・。
よく閾値走をしている友人がいて、何て精神力が強いんだと思ってました。

エコノミー向上のためにはフォーム改善

体型はほぼ変えられない、機材はカネ払えるかどうかの世界、ということで、ここではフォーム改善について書きます。

フォーム改善にはドリルが非常に重要

ドリルの目的は、効率のよいフォームを部分的に抜き出して集中して繰り返し練習することで、意識せずともその動きができるようになることです。

スイムはドリルが超重要

スイムはフォームが超重要なので、つまりはフォーム改善に有効なドリルが超重要となります。

例えばクロスカントリー出身で体力おばけな方がトライアスロンに挑戦する場合、バイクやランはすぐにレースで通用することはあり得ます。
ですが、きちんと泳げなければ、スイムで下半身が沈んで息継ぎもできずにすぐに終わってしまうことでしょう。

水泳初心者はまずは本を買うのをおすすめします。
泳げるようになるまでひと通り解説しているのが良い。ドリルも載っています。

それらをひとまず試して、それでもつまづくところが出てきたら、その問題を解決するためのドリルを探すと良いでしょう。
同じ課題でも、色々なアプローチ、ドリルがあります。

でも、どこが悪いのか分からないことが往々にしてあります。(スイムに限りませんが)

そんな時は、スイムが得意な友人に一緒にプールに行ってもらうとか、プロのレッスンを受けるとかして、信頼できる第三者からアドバイスをもらいましょう。

バイクはドリル+ポジション出し

バイクのフォーム改善で重要なのは 2点です。

  • ペダリングで上死点でトルクをかけて下死点で踏み込まない
  • ポジション出しをして、空気抵抗を小さくしつつラクにパワーが出るフォームを見つける

ペダリングもスイムのように本や動画で紹介されており実践しやすいのですが、ポジション出しの方は難易度が高いです。

ポジション出しのためにバイクショップでフィッティングを受けることを検討したこともありますが、フィッティング自体が有償な上に、最適なフォームのために色んな機材を薦められるだろうから更にお金がかかるし、まあロング完走できているし、ということで、未だに自己流です。

AIが発展して、動画解析アプリとかで気軽に無料でフィッティングが受けられる、そんな時代を待っています。

ランは流しでフォーム改善

ランも色々ドリルがありますが、私は練習の最後に流しを入れることでフォーム改善を図っています。

本や動画でもドリルやれって言っているし本当はやった方がいいとは思うのですが、正直どんなドリルが自分に効果があるのか分からない・・・。

あと友人に聞いてもドリルやってる人がほとんどいないんですよね。

そんな私は、脚に問題がなければ、毎回練習の最後に流しを 2~3本入れるようにしています。

流しをすることでフォームへ与える主な効果は下記のとおりです。

  • 骨盤が立つ
  • 動きが大きくなる
  • 接地時間が短くなる
  • 腕振りを意識できる

もちろんドリルを否定している訳では全くありません。自分が納得できるやり方でフォーム改善してください。

3要素を理解して競技力を上げよう

VO2Max、LT、エコノミー、それぞれどのようなものかお分かりいただけましたでしょうか。

ご自身の目標に合わせてそれぞれの練習内容を見直すキッカケになれば幸いです。

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