トライアスロンのレースのスイムは OWS (Open Water Swim) ですが、練習のほとんどはプールで行われ、壁でターンする必要があります。
私はレースで壁ターンがないという理由でクイックターンを全く練習してきませんでした。それでもロングディスタンスを何度も完走できています。
ですが、天下の GTN: Global Triathlon Network がこの動画でトライアスリートもクイックターンできるようになろう! と言ってます。
Should You Learn To Tumble Turn?
(Tumble Turn はイギリス系英語、Flip Turn はアメリカ系英語 だそうです。クイックターンは和製英語で海外では通じません。)
ただ、この動画へのコメントを見ると反対意見もあり、なかなか興味深いです。
そこも含めて、記事としてまとめました。
クイックターンの動作
タッチターンでは、壁にぶつかる直前まで泳ぎ続けて、顔を上げて息を吸い、顔を水中に戻して壁を蹴ります。
一方クイックターンでは、壁から30cmほどの距離で、プルを大きくおこない、頭を下げ、脚をたたみながら回転し、足が壁に届いたら、少しタメを作って蹴り出します。

動画では言ってませんでしたが、これに加えて、ターン後に顔が下を向くように捻りを入れる必要がありますね。
何と難しい・・・。
クイックターンは省エネ
タッチターンと比較すると、クイックターンではコンマ何秒かを短縮できます。
これに加えて、クイックターンの方がずっと省エネです。
腹筋を収縮し、ハムストリングスを使って足を畳み、大腿四頭筋で壁を蹴るだけです。
対してタッチターンでは、まず壁に手をついて体を安定させ、顔を上げて息を吸い、腹斜筋を使って脚を引き寄せる、という様々な動作を行います。
この間、水の抵抗が発生してしまいます。クイックターンではこの抵抗はありません。
要するに、タッチターンは使う筋肉が多く、それだけエネルギーも消費します。
結論、クイックターンはちょっとだけ速くなって、ちょっとだけ省エネ。
…それだけ?
いいえ、まだあります! (通販番組風に)
クイックターンを習得すると、実際にスイムが上達します。
クイックターンでは小休止が入らない
タッチターンでは、先ほど述べたように、顔を上げ、息を吸い、体をひねって脚を持ち上げる、という幾つもの動作をおこなうためにリズムが乱れます。
そして、ターン毎に「小さな休憩」が入ってしまいます。
対してクイックターンでは、リズムをキープできます。
呼吸を少し我慢する必要はありますが、ずっと同じ呼吸パターンを続けることができます。
腕の動作もずっと変わらず、ターン後は安定したポジションにすぐに戻すことができます。
これこそが、特にトライアスリートにとってクイックターンを取り入れる最大の利点となります。
レース同様、小休止なく連続で泳ぐトレーニングになるので、持久力がつき、泳ぎ全体のレベルが向上します。
つまり、クイックターンをするだけで、スイマーとして一段階レベルアップできるんです。
クイックターンのコツ
最初は脚をぶつけないよう、壁から少し離れて練習しましょう。
[ターン前の呼吸]
タイミングを調整し、少し大きめに息を吸って、ターン開始まで止めておきます。
[プル]
壁から60cm〜70cmくらいのところで最後のプルを始めましょう。
腕は腰まで引き切って、両腕を体の横に揃えた状態で、あごを胸につけるようにして頭を下げ、回り始めます。
ターン中は鼻から少しずつ息を出すと、水が入ってきません。
[脚]
脚が水面から出たら、膝を曲げてできるだけ胸に引き寄せます。
その間、惰性により足が壁に向かっていきます。
[ストリームライン]
足が壁に着いたら、腕をストリームラインの形にし、壁を蹴ります。
[体のひねり]
壁を蹴るときに体をひねってうつ伏せに戻してもいいし、仰向けで蹴ってから回転してもOKです。
ターンにかかる時間は3ストローク分くらいあり、その間 呼吸ができないのはちょっと絶望するかも知れませんが、頭を下げる状態をキープできれば、速くターンを終わらせることができます。
[慣れてきたら]
動きに慣れてきたら、ターンのスピードを少しずつ上げて、壁までの距離感も磨いていきましょう。
実は、速く泳いでいる方がクイックターンはむしろやりやすくなります。
だから練習の価値は大いにあるのです。
私自身 (動画のプレゼンター) も大人になってから習得したのですが、これによって、トライアスロンのレースで戦えるレベルまでにスイムのレベルが上がりました。
本当に覚える価値のあるスキルです。
1度マスターすれば、まるで別次元の泳ぎに進化しますし、以前どうやって泳いでいたのか不思議に思うほどです。
動画に対する反応
この動画に対して色んなコメントが付いてておもしろいです。
「クイックターン好きなんだけど、腰を捻挫することが増えてきた。加齢だな・・・。」
「まだできないけどいつかは!」
「ファストレーンで遅いスイマーを威嚇するのに使うよ。」
「基本クイックターンだけど、混雑したレーンでは他人と接触しないようタッチターンにしている。」
「以前はやってたけど 50歳になったらめまいがするようになって今はやってない。」
「レースではターンしないので練習しない。」
「”タッチターンでは小休止が入る”、イエス、だからタッチターンを採用してるぜ!」
「8歳からクイックターンをやっている。クイックターン一択だよ。」
この動画を観ている人の大半は、クイックターンができない、できるけどやらない、と推測されるので、やはりその類のコメントが多かったです。
さて、私 当サイト管理人としては、
クイックターンをマスターすると別次元の泳ぎになる、以前どうやってターンしてたのか思い出せない、というのは体験してみたい。
トライアスロンで使わないバタフライ・背泳ぎ・平泳ぎも少しだけ練習していて、たまにクロール上達に繋がる感覚が得られている(ような気がしている)、ということもある。
でも今でもレース完走はできてるし、クイックターンを練習する時間があれば普通にクロール泳ぐのに充てたい。
悩ましい・・・。
さあ、クイックターンができないトライアスリートの皆さんはどうします?
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