私たちは誰に教わらなくても走れるようになります。
が、マラソンやトライアスロンで速く走るためのフォームを自然と身につけるのは簡単ではありません。
GTN がランニングフォームについて解説している動画がありましたので、頑張って日本語でまとめました。
トライアスロンに特化したランのフォームではなく、ランニング全体で通用する話です。
GTNの動画:How To Run Properly
姿勢:少し前傾の1本のラインを保つ
体の中心を縦に通る一本のラインをイメージしましょう。
このラインは、足元から始まり、足首、膝、腰、肩、そして耳を通ります。
ランニングを始めるときには、このラインを保つように心がけましょう。
このときに、少し前傾姿勢になることも意識してください。
つまりこのラインは地面から前向きの角度で立ち上がっているようなイメージです。
膝:少しだけ曲げて着地
歩くときは脚をまっすぐに伸ばしますが、走り始めると骨や間接にかかる力が増大するため、膝が軽く曲がっていて完全に伸びきらないようにする必要があります。
ミッドフットストライク
足のどの部分で接地するかについては永遠に議論が分かれるところですので、自分で試してみることをお勧めします。
しかし、ミッドフット(足の中央)で着地することは衝撃吸収を助け、より良い体のポジションを促すのに役立つでしょう。
走り始めて、先に話した前傾姿勢を取り入れると、ミッドフットでの着地がしやすくなることに気付くでしょう。
ドリル:その場でハイニー
足がどの位置に着地するかも重要です。
多くの人がオーバーストライド、つまり足が体よりかなり前に出た状態でかかとから着地してしまいがちです。歩く動作に少し似ていますね。
しかしランニングにおいては、足を体の前に置くとブレーキのように作用してしまいます。
また足を前に下ろしてから体をその上に移動させる必要があり、体にかなり負担がかかります。
理想的には、足は体の真下で、すでに少し後方に動き始めている状態で着地することが望ましいです。
体の真下に着地する感覚を身につけるための良いドリルは、その場で足踏みをすることです。
これまでに触れてきたポイントを助けるために、いくつかの古典的なその場でのドリルがあります。
古典的なドリルですが、ハイニーが有効です。
単にその場でジョギングをします。まず膝を腰の高さまで半分上げるだけでOK。
ミッドフットで着地し、地面に触れる時間をできるだけ短く保つことに集中してください。
地面を弾むように素早く離れるのが理想です。
それができるようになったら、膝を完全に腰の高さまで上げることに挑戦してみてください。
基本的には、膝を90度、または股関節を90度の角度まで上げることを目指します。
レストは10〜15秒。しっかり休息をとってください。うまくできていれば、かなりハードに感じるでしょう。
ドリル:その場でバットキック
次はお尻側です。バットキックを行います。
手をお尻の後ろに置き、かかとを手の方に向かって跳ね上げることから始めます。まずはその半分の高さからスタートしましょう。
このエクササイズでは、良い姿勢を保つことに特に集中する必要があります。
前に傾きがちですが、その結果、自然にミッドフットやフォアフットで着地しやすくなります。
次のステップとして、かかとで手に触れることを目指してください。
これがマスターできたら、姿勢を崩さず、しっかりと直立した状態を維持することに集中しましょう。簡単に手を抜いてしまうことがあるので、それではドリルの目的を達成できません。
ドリル:ハイニー、バットキック、で前進
最後に、ハイニー、バットキック、それぞれやりながら 15~20m ほど前進します。
その後はリカバリーも兼ねて元の位置へジョギングで戻りましょう。
胴体:背筋を伸ばす
ランニングコーチがよく言っている指示に「背筋を伸ばして走れ」というものがあります。
肩を後ろに引くことで、自然にお腹を引っ込めることができます。
そうすると、骨盤が少し後ろへ回転し、そして胸へ近づくことになります。
これにより、走っているときに膝を上げやすくなり、これにより楽に走ることができるようになります。
お尻:臀筋群を鍛える
お尻はランニングにおける推進力にとって非常に重要です。
先ほどは前の股関節、つまり膝が前に出る動きについて話しましたが、後ろ側、つまりポステリオール筋肉群にも目を向ける必要があります。
(注:ポステリオール筋肉群:脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングスなどの体の後ろ側の筋肉群を指します)
走っているときには、体が足の上を移動する際に脚をしっかりと伸ばす必要があります。そこが制限されていると、ストライドの長さも制限されてしまいます。
そのためには、臀筋群を鍛えておく必要があることがあることを理解してください。ハムストリング等の周辺の筋肉の原動力となります。
また、股関節が tight にならないようにして、ストライドから推進力が得られるようにすることも重要です。
肩:リラックス
肩はできるだけリラックスさせた状態を保つことが望ましいです。
肩が緊張して耳の辺りまで縮こまってしまうと、呼吸がしづらくなるだけでなく、全体的な動きも制限されてしまいます。
また、肩からの動きは、肩自体を動かそうとするのではなく、腕を振ることによって自然に起こるべきです。
腕:体幹に近い位置で前後に振る
ラクに走るために、腕を前後に動かすことが役立ちます。前進を推進しているとも言えるでしょう。
また、片側の肩・腕から反対側の腰まで、体幹を通じた斜めのつながりが存在します。
このため、肩を動かしつつもリラックスした状態を保つ必要があります。
肘は少しだけ優しく曲げて、体幹に近い位置をキープしましょう。
手もリラックスさせることが大切です。強く握りしめるのではなく、まっすぐに伸ばすのでもなく、指を少しだけ自然に曲げておくと良いです。
腕を横に振るのは逆効果です。脚でその動きを補正しなければならなくなります。
ドリル:その場で腕振り
腕振りの練習方法です。
その場に立ち、肩をリラックスさせることに集中しながら腕を前後に動かしてみましょう。鏡の前でやってみるのもいいですね。
片足をもう片方の前に置いて、部分的に走る姿勢をとり、10回腕を振る練習をしてみましょう。
その後、反対側に足を入れ替えて更に10回繰り返します。
実際に走るときには、腕の動きについてあれこれ考える必要はなく、ランニングの動きに合わせて自然に腕も動くようになるはずです。
腕がどれだけ走りを助けているかを実感するために、試しに腕を太ももにくっつけた状態、つまり腕を体の横に置いて、ペンギンのような感じで走ってみてください。
その後、通常の走り方に戻ってみてください。腕がどれほど役立っているかを実感できるはずです。
頭:遠くを見て正しい位置をキープ
頭は重量があるので、そのポジションが走りに大きな影響を与えます。
冒頭の「姿勢」で話したラインを思い出してください。
頭は体の他の部分と一直線になるよう必要があります。頭が前に出過ぎたり下を向いたりしていると、走る際に膝を持ち上げるのが難しくなります。
逆に、頭が後ろに行きすぎると、かかと着地やオーバーストライドを引き起こすことになります。
また、過度な動きは減らすように心がけ、体の反対側までいかないようにすることが重要です。
頭の余分な動きは体全体に影響を与えるため、体の方でそれを補正をかける必要があり、結果的に余分な体力を消耗することになります。
頭を正しい位置にキープする良い方法は、視線を意識することです。
遠くを見つめるようにすることで自然に肩が後ろに引かれ、骨盤を高い位置でキープできます。
呼吸:肺の全容量を使う
呼吸がうまくいっていないと、走りに悪影響を及ぼします。
走るための呼吸は通常の呼吸と異なり、そのためにうまくできていない可能性があります。そのサインとして、肩・顔・首に緊張がみられたりします。
走るための呼吸では、肺の全容量を使います。単に肋骨から呼吸するのではなく、もっと深い呼吸が求められます。
今の自分の状態を確認してみましょう。
まず、横になって普通に呼吸しながら、手をお腹の上に置いてみてください。もし手が動いていない場合、それは浅い呼吸しかできていないことを示しています。
全ての肺に空気を満たすことに集中し、肺の底まで呼吸を行うようにしましょう。そうすると、息を吸うときに手の下のお腹が外側にまたは上に動き、息を吐くときには手が下がるはずです。
横になったままこの呼吸を感じて、慣れていきましょう。
その後、立った状態でも同じように手をお腹の上に置いて、感覚を確かめてみてください。
走る前に簡単な呼吸エクササイズを行うことで、リラックスするだけでなく、肺の全容量を活用する方法を思い出せるかも知れません。
シューズ:ランニング専門店で相談
正しいランニングシューズを見つけることは重要で、特に走り方を変えようとしている場合はなおさらです。
そのためには、専門のランニングストアに行くことをお勧めします。そうすることで、あなたのランニングスタイルに合ったシューズを見つけることができます。
筋トレ:体幹や股関節周りを強化
筋力トレーニングにも取り組む必要があります。
体幹や股関節周りの筋肉をしっかりと強化することで、これまで話してきた良い姿勢を長時間維持できるようになります。
結果として、ランニングがずっと楽になり、効率も向上します。
私の感想
それまで我流で走っていた初心者が観たら、ランニングフォームの奥深さに驚くかも知れませんね。
ある程度走りこんでいるランナーであれば、知っていることばかりかも知れません。
ただ、知っているからと言ってその全てを正しくできているかどうかはまた別の話。
時々この内容をチェックするのは良いと思いました。
なお、体を前傾するといってもどれだけ倒すべきなのか? 着地のときに膝をどれだけ曲げれば良いのか? といった部分は、1人1人骨格が異なるため、自分で試してみるしかありません。
同一人物でも、走りこんで筋力がついてきたらまた変わってきますしね。
ランニングフォームはみんなの永遠のテーマかもしれない。
あと、hip は骨盤の体側面の出っ張りの片側を指す (なので骨盤は hips となる) とか、glutes と bottom muscles の違いとか、英語の勉強になりました。
仕事で使うことはまず無い言葉ばかりですけどね。
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