今やエリートランナーならほぼ必ず履いている厚底のカーボンシューズ。
でも遅いランナーには無縁のもの、という話もよく聞きます。
遅いランナーがカーボンシューズを履いたら効果は出るのか?
という疑問に対して実験を行った動画(英語) がありましたので内容をまとめました。
厚底カーボンシューズとは
カーボンシューズとは名前の通り、カーボンプレートをミッドソールに搭載したシューズのことです。
足を蹴りだすときにプレートの反発力が生まれて、それが推進力になります。
↓はナイキ公式サイトに載っている nike zoom fly の構造。
2016年のリオ五輪の男子マラソンでキプチョゲがナイキのカーボンシューズで圧勝、その後ナイキが大々的に一般向けに販売して瞬く間に世界中のランナーが履くようになりました。
カーボンシューズのメリット
「速く走れる」
書くまでもないですが、これが唯一にして最大のメリットです。
カーボンシューズのデメリット
デメリットは以下の2点に集約されます。
スピードのない、つまり脚が強くないランナーが履くと故障します。
- 脚への負担が大きい
- 価格が高い
実験動画:遅いランナーが履いても効果があるのか?
故障の話は置いといて、遅いランナーが履いても効果はあるのか?
という疑問に対して、GTN が動画 Are You Too SLOW To Need Carbon Running Shoes? を出してます。
日本語版がないので、頑張ってこの英語の動画観ました。
その内容をまとめました。
遅い / サブ3 / 速いランナーでテスト
やり方は下記の通りです。
- 被験者は走力が異なる3名。
– Phil マラソンペース 6:30/km の男性
– Heather サブ3級の女性
– James サブ3より速い男性
- 3人ともカーボン無しシューズとして On のクラウドモンスターを履き、
カーボン有りシューズとして On のクラウドブームエコー3を履く。
クラウドモンスターはサブ3.5ランナー向けのようです。
クラウドブームエコー3は箱根駅伝のランナーが履くようなスーパーシューズ。
- カーボン無しシューズで
イージーペース、
マラソンペース、
ハードペース
を走り、
次にカーボン有りシューズで同じ 3種類のペースで走る。
- トレッドミルを走りながら呼吸を収集し、その RER: Respiratory Exchange Ratio と 酸素コスト を測定する。
- RERは呼吸交換比と訳され、吸った酸素に対して吐いた二酸化炭素の比率を表します。
エネルギーとして糖を多く使うとRERが大きくなり、糖が少なく脂質が多くなるとRERが小さくなります。
つまり、値が低い方が望ましいということになります。
RERが低いのとランニングエコノミーが良いのは全く同じ意味を表す訳ではない、と断りを入れてました。
- 酸素コストについてほとんど説明がありませんでしたが、値が低い方が望ましいということでした。
- RERは呼吸交換比と訳され、吸った酸素に対して吐いた二酸化炭素の比率を表します。
↓は測定中のイメージ。
結果:遅くても効果アリ! でも効果は薄い
この動画が出した結論から書きます。
- Phil のようなサブ4.5程度のランナーでも効果がある
- 遅いランナーほどその効果は低くなる
全3名の測定結果は以下のとおりでした。
3人ともどのペースであっても、カーボン有りシューズの方が RER が低減した = 効果があった。
速い人ほど、カーボン有りシューズの方が RER 低減の効果が大きかった。
3人でバラつきはあったが、カーボン有りシューズの方が酸素消費量が少ない = 効果がある傾向を示した。
一番速い James の 酸素コストの結果が予想と異なる点について考えられる理由をたくさん述べてました。
試行回数が少なかったとか、いつもカーボン有りシューズではスピード練習をしておりマラソンペースでの走り方がよく分からなかったとか、この実験前にハードなトレーニングをしてしまっていたとか。
要はキッチリした実験じゃなかった、ということでした。
まあ動画用の実験ですしね。
10Kランの飛び道具に
世の中の大半のランナーはサブ3 レベルの走力はありません。
でも、トライアスロンのショートや 10Kランのレースであればフルマラソンより高速で走れます。
つまり、短い距離のレースの飛び道具として履く、というのはアリだと思います。
短ければ脚の故障のリスクも減りますしね。
デメリットで書いたように、カーボンシューズは高価です。
ご自身の走力と財力と照らし合わせて導入をご検討ください!
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