こちらのトライアスロンのトレーニングについて書かれた本を読みました。
スイム、バイク、ラン、それぞれのトレーニングについて書かれた本はよく見ますけど、トライアスロンにフォーカスした練習本は希少ですよね。
初心者がショートディスタンス完走を目指そう!という内容。でもなかなかレベル高いです。
著者 青山 剛
著者の青山氏はもちろん元トライアスロン選手で、コーチでもあります。
幼少から中学まで競泳、高校で陸上(中長距離)へ転向、そして日体大に進学後にトライアスロンを始め、2年生の時にプロチーム「チーム・エプソン」に加入、世界選手権出場に出場しています。
ここで中西真知子選手のコーチとなり、自身の選手活動を一時停止して中西真知子選手のコーチに。
結局そのままコーチ業を続けて中西選手と共にアテネオリンピックに参加しました。
選手としても指導者としても実績のある方です。
初心者から中級者向け
まず、スイムとランのタイム別に 5級から1級までにレベル分けをしています。
各級のレベル分けは下記のように定義されてます。
スイム | ラン5km | |
5級 | 3分/100m | 35:00 |
4級 | 5分/200m | 30:00 |
3級 | 8分/400m | 25:00 |
2級 | 7分/400m | 22:30 |
1級 | 6分/400m | 20:00 |
そして級別の大会推奨レベルはこちら。
ロング | ミドル | ショート | スプリント | |
5級 | × | × | ▲ プール | ◎ プール |
4級 | × | × | ▲ | ◎ |
3級 | × | ▲ | ◎ | ◎ |
2級 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
1級 | ◎ 各距離年代別上位入賞へ |
◎だいぶ安心 ▲制限時間内完走なら ×お勧めできない
➡ よって本書では3級以上を目指す!
本では 5級の印が逆でしたが、おそらく誤植なので直してます。
また、オリンピックディスタンスとショートディスタンスという表記が混在してましたが、ここではショートで統一してます。
私、出場したロング5回は全て完走、2~5回目では上位4割以内です。
でもスイム2級届いてないんですけど・・・。
本の目次と概要
こちらの本の目次と概要です。
PART1 最新メソッド「3S理論」で強くなる!
青山氏独自の3S理論の説明です。
Stretch、Switch、Strength の頭文字からきています。
Stretch は、ストレッチそのまんま。
Switch は、トライアスロンで使うべき筋肉や動作を意識できるようにする練習です。いわゆる動きづくりも含まれます。
Strength は、普段みんながやっている練習です。
他にも、トライアスロンに必要なギアの一覧、ショートディスタンス出場のための年間トレーニング計画、等も書かれてます。
年間トレーニングは、6月と9月にショートに出る場合を想定してつくられてます。
この章で驚いたことが2つ。
まず、フルマラソンでサブ4達成してからトライアスロンのショートに取り組みましょう、という話。
これは結構厳しい基準。
2019年の東京マラソンでサブ4を達成したのは、男子の上位30.1%、女子の上位16.3%です。
サブ4達成者なら、ショートディスタンスのラン10kmにかかる時間は50-55分。
スイム1500m泳げるようになってちょっとバイク練習すれば、簡単にショートを3時間きれます。
2023年の横浜トライアスロンの制限時間は 3:45、同年の村上トライアスロンでは 4:00 だったので、3時間はだいぶ余裕のあるタイム。
5級~1級の基準と同様、なかなか厳しい内容ですね。
さすが「レースに勝つための」練習本です。
もう1つ驚いたのは、推奨している 3種目の練習のバランスが、スイム 30%、バイク 10%、ラン 60%!
トライアスロンはバイクが一番競技時間が長いのに。
ミドルやロング出場が目標になるとこの比率が変わるんでしょうか。
PART2 体の基礎作り「ストレッチ&ストレッチトレ! 」
ストレッチについては、各関節をひと通り伸ばすやり方を紹介しています。
トレーニング時間が取れない時はストレッチを最優先せよ、とのこと。
ここまで言い切る人はなかなかいないですね。
続いてスイッチトレの話。
3種目共通で使う体幹の筋肉を鍛えるための自重筋トレが中心です。
私、ストレッチもスイッチもあまりやってない…。
練習時間1時間取れたら丸々1時間走っちゃたりしてます。
でもプロやコーチの練習会とか開催すると、必ず準備運動とか動きづくりとかやりますよね。
ということは大事なんだろうなあ。反省。
PART3 3種目のベース「ラントレ! 」
PART4 体幹を使った「スイムトレ! 」
PART5 速く安全に「バイクトレ! 」
ラン、スイム、バイク、各種目の動きづくりです。
ここが青山氏の指導の一番の特徴だと思うのでここに書くのは控えておきます。
是非ご自身で本で確認してください。
PART6 レースに挑む! 「トレーニングプログラム」
まず練習を、基礎期、適応期、調整期、に分けて、それぞれの時期に何をすべきかを、5級~1級の各レベル毎に書いてます。
練習頻度・距離・強度について、結構具体的な数字が載ってます。
特にスイムの練習メニューが細かい!
漫然と泳いでても速くならないよ、ということなんでしょう。
適応期では、ブリック (バイクとランを連続して行う) や OWS (海や湖で泳ぐ) のような、より実践的な練習を取り入れると良い、という内容です。
調整期では、心身の疲労を抜いてレースに備えよう、という話。
PART7 レースに勝つための「実践テク! 」
実はこの本、図書館で借りて読んだのですが、この章のメモを取らずに返却してしまった・・・。
ここはご自身で本を読まれるときのお楽しみということで。
まとめ:ハイレベルを要求。具体的な練習内容。
こちらを読んでみて、読者には高いレベルを求めている、そしてストレッチ、動きづくり、補強運動、トレーニングメニュー等などについて細かく書かれている、というのが全体の印象でした。
確かにこちらに従って練習できれば、ショートはもちろん、ミドルやロングの完走も見えてくると思います。
興味のある方は是非読んでみてください!
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